肥満|メタボ基準では安心できない

「肥満」というのは新たなメタボ基準をクリアすれば、健康を維持できるのでしょうか。わたしはそのようには考えていません。むしろ、こうした中途半端な基準を示したことで、国民に妙な安心を与えて、本当に必要な努力を怠る原因を生み出してしていると懸念しています。

新しいメタボ基準

以前は腹囲の身を基準としていましたが、2016年に10年ぶりに新しい要素を加えた判断をすることに改められました。従来どおり腹囲の計測が必須項目とされますが、その脂肪型肥満の基準に脂質異常・高血糖・高血圧のうち2つ以上を併せ持った状態を新たな『メタボリックシンドローム』の基準としました。

腹囲(脂肪肥満の計測目安)

クスリに頼る社員

  • 男性 85cm以上
  • 女性 90cm以上
脂質異常[採血の必要あり]

脂質異常については血液検査の結果が、以下のいずれか、もしくは両方が該当する場合とされました。

  • 中性脂肪 150mg/dL以上
  • HDLコレステロール 40mg/dL未満
高血圧

高血圧とは、血圧が以下のいずれか、もしくは両方が該当する場合とされました。

  • 最高血圧 130mmHg以上
  • 最低血圧 85mmHg以上
高血糖 [採血の必要あり]
  • 空腹時血糖値 110mg/dL以上

腹囲の基準は適当か

新たに血液検査の項目が基準対象に加えられました。このことは脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを減らそうという新たな基準だといえそうです。しかし、腹囲は他の国よりも男性は厳しく、女性は緩いのはなぜでしょう。また、コホート研究からの腹囲の大きさを指摘して、「ややぽっちゃりの方が長生き」だという説をまことしやかに広めています。
メタボリックシンドロームの中年男性
確かに研究からはそのような結果があることは否定できませんが、更に進めて人生120歳まで生きるという分子生物学の視点に立つと、けして健康寿命が合致しているとはいえません。やたら腹囲の基準を小さくすると医療費がかさむなどという、健康の本質と関係のない話が先行しています。

メタボ基準では安心できない理由

胴囲は20歳前後と比べて大抵の方は中年ともなると10p程大きくなっています。このことは内臓にも直接間接に影響を与えています。

下半身の重要な筋肉が減ると困ること

メタボ基準は生活習慣病そのものを減らすことを目的とするではなく、基準となるウエストサイズは腹部脂肪の蓄積状態を知るための目安のひとつに過ぎません。やせ型や普通体型の人でも、お腹が張り気味の人や筋肉の少ない人は内臓脂肪の蓄積しているリスクが高いと考えられます。

 

この内臓脂肪が、血圧や血糖値、LDLコレステロール値、中性脂肪値などを上げる原因として、ここだけが強調されていますが、腹囲が増した原因は大幅な筋肉量の低下を意味しています。このことは代謝率を大きく落とすばかりでなく、泌尿器系の疾患や夜中に何度もトイレに起きる原因ともなります。

メタボは大きな筋肉の減少の反映

つまり、「メタボ=大幅な筋肉量の低下」を意味するもので、このことは下半身の大きく重要な筋肉である大腰筋や殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングスなどの生活機能にも重要な筋肉の減少を意味しています。放置すると徐々に生活の質に大きな悪影響を与えていくことを認識しておくことが重要です。将来の要介護予備軍といえる状態です。

健診優良者でも、心筋梗塞などの発症事例あり

メタボ健診の結果、「良好」でどこの数字が悪いということがない人でも、心筋梗塞などを惹き起こした人があるというのはどういうことでしょうか。そこを十分に理解しておかないと、運送業界のように他人を巻き込む事故を引き起こしかねません。会社が行うべき運転手の健康指導

 

毛細血管は体の99%以上に及びといわれますが、歩くようになると心臓や肺などの機能も徐々に戻るように思われます。しかし、急激に負担のかかる運動はむしろ負担が大きく、また直ぐに辛くなって長続きいません。

 

殊に中高齢者の多くは中学・高校を卒業してから長年にわたって運動をしていない人も多いのではないでしょうか。そこにメタボ一歩手前という人で、まだ未病という方の中に心筋梗塞などの重病を惹き起こせば、大きな事故につながるというわけです。そればかりか近年は大動脈剥離でなくなる人も出ています。

医学的には大動脈解離はどういう人に生じやすいか、分かっていないとされていますが、歩かない生活を長年送っている人が多く、男性が女性より2〜3倍多く、60〜70歳台で発症するとされて来ました。しかし、働きざかりにも見られる事例が出てきており、歩かない生活習慣によって毛細血管の消滅を招いていることが要因だと考えることができます。このため、心筋梗塞と同じように毛細血管を維持するウォーキングを行うことで大幅なリスク低下に結びつくと考えています。

車社会となってあまり歩かない生活を送っている人は、様々な体への負担を強いているということを肝に銘じておきたいものです。