運送業界における安全な会社とは
バスやトラックなどの大型車両の運転手や中型といえども乗用として使用する乗り合いバス、タクシーを運行する会社では、運転手の健康管理と車両整備が一番大切です。
しかしながら、出発前点呼や飲酒チェックだけでは、高齢化著しい運送業の担い手の健康を確保するには不十分だといわざるをえません。特に、心筋梗塞や心不全、脳梗塞などの重大な疾患は突然発症します。こうしたリスクチェックをどのように行っているのか、会社としての力量が問われるとともに、度重なる事故が起きたとすれば会社の大きな損失につながります。
運転手の健康情報
では運転手の健康管理の一番のポイントは何でしょうか。運転手の方の1日の過ごし方をチェックしてみましょう。すると、これらから生活習慣が見えてきます。その中に重大なリスクが含まれているかが分かれば、リスクを大きく減少させることができます。運転手の健康管理のチェックポイント
運転手の方のチェックすべきポイントは、以下のとおり。
- 一日のうちで、どれほど歩いているか
- 身長と腹囲、体重はいくつあるか
- 姿勢におけるS字カーブはどの程度崩れているか
- どんな食習慣か
- 睡眠は十分とれているか
- 便の臭いはきつくないか
- 体の柔軟性や可動域は十分あるか
- 関節の柔軟性
以上の点をチェックし、正しく評価し、運転手の生活習慣に介入するだけでリスクを大幅に減らすことができます。これらに介入、対処するには経験が必要ですが、この視点が事故を減らします。
上記の写真から、「危ないっ!」と感じたことはありませんか。では何故危なっかしいのでしょうか。危険はそんな日常に潜んでいます。今すぐチェックしましょう。
会社が行うべき運転手の健康指導
上記のチェックポイントは、どれも生活習慣そのものです。長く慣れ親しんだ生活を突然変えるというのは、運転手本人にとっては大変なことです。では何から手をつけるべきでしょうか。本人の取組みやすいことを優先的に考えながら、徐々に対応するメニューを増やしていきます。
運転手向け健康指導の優先順位
多少の順位の変動は個人の生活環境によってあるといえますが、基本を押さえておくことは重要です。そこで、以下の視点から組み立てていきいます。
- 筋肉量を増やす
- よく歩く
- 胃をもとの大きさに戻すことを意識する
- 野菜、果物を多く摂る
- 体の柔軟性を高める
けして激しい運動を求めるわけではありません。ゆっくりからはじめ、心拍に自信がついてきたら徐々に距離を延ばしていきます。長くなりますから、この程度の記述にとどめますが、こうした点を強調するにはそれぞれの理由があります。また、コツもいります。時間もできれば、短時間に成果を上げて、当事者のモチベーションが維持されることが大切です。気長に楽しみながら、健康を延ばすことが経営の視点からも大切な一例です。
こうした一見何気ない指導のようですが、実は重要なリスク低下となって、会社のリスク管理を高めることになります。
運転前の健康チェック
運送業界は、乗客を運んだり、顧客の荷を運んで命を預かり、財産を預かりして業務にしています。それだけに職員、殊に運転をする職員の健康は非常に大きな関心事となっています。それにもかかわらず、運転中に急性心不全や脳梗塞などを起こして、重大事故につながるケースが後を絶ちません。
着任直前の健康チェック
着任直前の健康チェックだけでは、なぜこうした事例を防ぐことができないのでしょうか。そもそも直前でのチェックは、飲酒や当日の体調管理に限られてしまい、健康チェックすべき点を見失っているからです。
そのひとつは、メタボチェックの基準にも問題があります。私事ですが、メタボ基準に納まっていたにもかかわらず、数多くの生活習慣病がありました。そんな基準が、改正されはしたものの健康のひとつの基準として未だに活用されています。